コンプレッサーとイコライザーの設定が終わったら、リバーブとディレイで響きを付けていきます。
FXチャンネルの作成
リバーブはトラックに直接かけるのではなく、FXチャンネルを経由してかけるのがおすすめです。
リバーブ側だけに追加のエフェクトをかけることもでき、パソコンへの負荷も抑えられます。
トラックが1つだけの方も、ここでFXチャンネルを作成しておきましょう。
ミックスタブの空いているところを右クリック→「FXチャンネルを追加」で作成します。
メイン用とハモリ用の2つを作り、わかりやすい名前を付けておきましょう。
リバーブ(MixVerb)の設定
「MixVerb」をFXチャンネルの「インサート」の欄にドラッグ&ドロップで適用します。
リバーブをかけたいボーカルのトラックから「センド」のプラスをクリックし、送り先としてFXチャンネルを選択します。
リバーブをかける予定のボーカルトラックは、チャンネルフォーマットをクリックして「モノラル」から「ステレオ」に変更してください。
明らかに左右から響くようになります。
音量の調整
最初はリバーブが大きすぎるので、音量を調整します。
FXチャンネル内の「MIX」のつまみではなく、FXチャンネル自体の音量フェーダーで下げてください。
FXチャンネル内の「MIX」は100%固定のままにします。
おすすめはかけた後だけ聞いても「リバーブが本当にかかっている?」と思うくらいの薄さです。
リバーブなしとありの切り替えで比較したときに差がわかる程度で、曲に寄りますが目安は-10dBあたりだと思います。
パラメータの調整
調整するパラメータは主に4つです。
「Width(ウィドゥス)」は響きの広がりです。
メインボーカルは広がりすぎるとまとまらないため50程度に設定します。
ハモリがお隣にいるなら30に近づけてもよいでしょう。
「Size(サイズ)」は響く空間の広さです。
ゆったりした曲やオーケストラが鳴っているようなオケであれば40程度まで上げてもよいですし、歌詞が詰まったテンポの速い曲なら15に近づけてもよいでしょう。
「Pre-delay(プリディレイ)」はリバーブが発生するまでのタイムラグです。
語頭にリバーブをかけないことで、オケに埋もれにくくなります。
ただし、プリディレイはリバーブの開始位置をずらすだけでなく、リバーブで生成された言葉自体を後ろにずらす設定です。
数値を上げすぎるとズレる分目立ってしまいますし、次の言葉にかかってしまうので、かけすぎには注意してください。
かなりゆったりした曲なら50程度、言葉を詰めているような曲なら10程度に設定しても良いと思います。
「Damping(ダンピング)」はリバーブの減衰の度合いです。
高すぎるとリバーブが全く残らず、低すぎると次の歌詞や音にぶつかってぼやけてしまいます。
0から上げていって、「このくらいのぼやけ方なら許容できる」というラインを探る感覚で調整します。
Dampingに限らず、エフェクトは強く描け、段々小さく絞っていって、ギリギリ影響が分かるラインを探るのがおすすめです。
「Gate」は特定の条件でリバーブの発生を制御する機能ですが、いったんオフのままで問題ありません。
ハモリのリバーブ
ハモリのリバーブも、基本はメインと同様の考え方です。
ハモリをメインより後ろに引きたい場合は、リバーブのFXチャンネルの音量を上げる、プリディレイを減らす、ダンピングを下げる、ウィドゥスを広げる、といった調整を試してみてもよいでしょう。
リバーブのローカット
リバーブをかけたらセットで行うことがあります。
低音はごちゃつきやすいので、FXチャンネルに「Channel Strip」を追加します。
エフェクトは上から順にかかるようになっています。
リバーブが上になるように、挿入順を間違えた時はドラッグ&ドロップで入れ替えてあげましょう。
音をつぶすのが目的ではないため「Compress」はオフにし、「Low Cut」をONにして、300Hz以下をカットしてください。
ディレイ(Beat Delay)
壮大な楽曲でもっと響かせたいときに、リバーブをかけすぎるとぼやけすぎてしまいます。
そういった場合はもう1つFXチャンネルを作成し、「Beat Delay」を挿入し、センドで送り込みます。
基本的にはメインボーカルだけにかけて、ハモリにはかけなくてよいでしょう。
「Beat Delay」はそのまま遅らせたメインの音を返してくれるエフェクトです。
パラメータの調整
「Ping-Pong」を「Sum」にすると、左右に広がります。
「Width(ウィドゥス)」はリバーブと同様に50程度、ハモリがお隣にいるなら30に近づけます。
「Beats」を下げると、遅れて発生する間隔を狭められます。
クリックすると一覧が表示されます。
存在感を出す目的であれば「1/4」~「1/8」あたりを使うことが多いですが、「1/4」と「1/8」は曲とちょうどよくズレてしまいがちで文字の頭が重なりやすいため、おすすめは「1/8D」(付点8分音符、1/8の1.5倍)です。
その曲が付点8分音符を多用している場合は「1/8」や「1/4」に変えるくらいで、基本は「1/8D」で問題ないでしょう。
「Feedback」は音がどれだけ繰り返し返ってくるかの設定です。
99にすると延々と返ってきてしまいます。
テンポが速い曲でしたら20なども良いと思いますが、テンポの速い曲に壮大にする目的でディレイを賭けることはあまりないと思います。
40のまま、いったんいじらなくてよいでしょう。
再生しながらFXチャンネルのフェーダーを下げていき、ディレイも自然にうっすら聞こえるくらいまで調整します。
ディレイにもリバーブと同様に、300Hzあたりでのローカットをかけておきましょう。
曲の一部だけエフェクトを変える方法
一部にかけるエフェクトを変えたい場合は、変えたいところをダブルクリックで分割して抜き出します。
トラックを右クリック→「トラックを完全複製」します。
複製先からは変化させないところを削除し、元のトラックからは変えたいところを削除します。
FXチャンネルを右クリックで追加して、わかりやすい名前を付け、複製したトラックのセンド先を、新しいFXチャンネルへと変更します。
センド先やトラックに直接かけたエフェクトを変更し、一か所だけラジオボイスにする、といったことなどができます。
オートメーション
エフェクトの種類は同じまま、徐々にエフェクトの強さやパラメータを変化させたい場合はオートメーションを使用します。
つまみや音量フェーダーを右クリックすると、時間経過に合わせて数値を変化させるオートメーションを表示できます。
操作方法はゲインエンベローブと同様です。
例えば、オケの音がやむ箇所でリバーブやディレイのFXチャンネルの音量を0にする、サビの終わりや次の歌詞から響きを強くする、といった使い方ができます。
パン振りもオートメーションで変化させることができるため、響き方を変えたり左右に広げたりすることも可能ですが、初心者は忘れてしまっても問題ありません。
ボーカルの加工にはケロケロ、ラジオボイスなど多くの種類があります。
やりたい加工が出てきたら、その都度調べてみてください。
長々と説明しましたが、主に使うエフェクトは「Channel Strip」と「MixVerb」の2つだけです。
リバーブ・ディレイ・エフェクト補足については以上です。


