収録した音源の下処理として、ノイズの除去とピッチ・タイミングの補正を行います。
全体のノイズ除去(Audacity)
個別のノイズ除去は「Studio One」で行うため、全体にノイズが乗っている環境の方のみこの工程が必要です。
環境ノイズ(サーッというホワイトノイズなど)が入ってしまう場合は「Audacity」でノイズを除去します。
ノイズプロファイルの取得
「Audacity」を起動し、ノイズ除去が必要な音源をドラッグ&ドロップで読み込みます。
選択ツールをクリックし、収録の最後に録っておいたノイズのお手本部分をクリックしながらドラッグして選択します。
「エフェクト」→「ノイズ除去と修復」→「ノイズの低減」と選択し、出てきた画面で「ノイズプロファイルを取得」をクリックします。
ノイズ除去の実行
Ctrl+Aキーで全体を選択し、もう一度「エフェクト」→「ノイズ除去と修復」→「ノイズの低減」と選択します。
「OK」で実行すれば、取得したノイズのお手本と似たノイズを、全体から除去することができました。
気になるようであればもう一度繰り返しても構いませんが、オケも被せるので基本的には大丈夫でしょう。
「ファイル」→「エクスポート」→「複数ファイルをエクスポート」で出力画面を開きます。
保存先を「選択」より選び、「エクスポート」→「OK」と選択して出力します。
これでノイズをざっくりと除去した音源が手に入りました。
処理済みの音源を「Studio One」にドラッグ&ドロップで読み込み、元の音源と差し替えましょう。
個別のノイズ除去とカット(Studio One)
全体のノイズを処理した音源、または全体のノイズ処理が不要だった音源から、余計な音を消したり軽減したりしていきます。
録音の際と同様に、イベントを編集する際は、一番上のアイコンで左端の「[」を選んでおくと便利です。
イベントの下半分にカーソルを合わせている時は矢印として、イベントを選択したりクリックしながら移動させたりするのに使えます。
イベントの上半分にカーソルを合わせると、クリックしながら動かして範囲選択をすることができます。
イベントの上半分をダブルクリックすると分割ができます。
分割で切り出したところを選択したり、範囲選択をした状態でDeleteキーを押すことで、選択箇所を削除できます。
イベントの上の真ん中にある白い四角をクリックしながら上下に動かすと、音量調整ができます。
右下のボタンを長押ししながら上下にマウスを動かすと、波形の表示を拡大できます。
これで音量を変えないままに、雑音などを見やすくすることができます。
イベントの端をクリックしたまま動かして不要な部分をカットし、カットした箇所には必ずフェードイン・フェードアウトの処理を入れます。
斜め上の三角をクリックしながら動かすことで、フェードイン・フェードアウトの処理ができます。
ごく短いノイズ(リップノイズなど)が入ってしまっていた場合は、その部分を拡大して、切り出すように分割し、音量を下げるかDeleteキーで削除してしまいましょう。
ピッチ補正(VocalShifter)
ノイズ処理済み音源の出力
ピッチとタイミングの補正には「VocalShifter」を使用します。
「Studio One」からノイズ処理済みの音源を出力しておきましょう。
ループ範囲を曲の最初から最後までに指定し、音量フェーダーを全て0に戻します。
「ソング」→「ステムをエクスポート」と選択し、「トラック」にチェックが入った状態で、出力したい音源すべてにチェックを入れます。
同じタイミングに揃っているオケも、参考用に出力しておきましょう。
ファイル名を入力し、「OK」で出力します。
StudioOneを閉じる場合など、「ファイル」→「保存」でこまめに保存してください。
VocalShifterの基本操作
出力した音源を「VocalShifter」にドラッグ&ドロップで読み込ませます。
出てきた画面で「OK」を押し、次の画面では「単音ボーカル用」を選択してください。
クリックしながら動かし、開始位置を合わせます。
「プロジェクト」→「プロジェクト設定」を開きます。
テンポを設定しておくと、タイミング調整時に位置の把握がしやすくなります。
数値を入力し、「OK」で閉じてください。
再生を開始する前に、各音量バーはいったん下げておきましょう。
出力するときに0に戻すのだけ、忘れないようにしてください。
聞きたい音源のトラックの、「S」をクリックし、ソロで聴くこともできます。
読み込んだアイテムをダブルクリックすると、ピッチ編集画面が開きます。
鉛筆アイコンでピッチを描くこともできますが、四角のアイコン「ノート編集ツール」を使うのがお勧めです。
声の震えやニュアンスを残しながら音程を補正できます。
誤ってしまったときは「Ctrl+Zキー」で戻すか、鉛筆で右クリックしながらなぞり、なぞった範囲にあるピッチを元の位置に戻すことができます。
「縦に拡大」をクリックすると、音程の目盛りに音階が表示されるため、確認しやすくなります。
聞いて確認したいときは、クリックで再生位置を決め、スペースキーで再生/停止ができます。
マウスホイールを転がすか、下のスクロールバーをクリックしながら動かすことで横移動ができます。
Ctrlキーを押しながらマウスホイールを転がすことで拡大縮小ができます。
ノートが繋がってしまっている場合は、分割したい位置に再生バーを合わせます。
ノートを右クリックし、「ノートを分割」で分けてから、正しい音程に調整してください。
歌声りっぷで参考音源を作る
正しい音程が耳ではわからない場合、「歌声りっぷ」で音程の参考にするボーカルのみの音源を作るのがお勧めです。
歌声りっぷは参考にしたい音声ファイルにオフボーカルをぶつけ、本家のボーカルだけを抽出することができるソフトです。
下準備
音源の音量に差がある場合、きれいに抽出することができないので、先に本家音源とオフボーカル音源をAudacityにドラッグ&ドロップで読み込ませて調整します。
メモリが(db)表示になっていない場合、どのくらい音量を上げればよいのかわかりづらいと思います。
メモリを右クリックして「リニア(db)」を選択し、表示を変更しましょう。
小さいほうの音源をダブルクリックで全選択し、「エフェクト」→「音量と圧縮」→「増幅」→「適用」で本家音源と同じくらいまで上げましょう。
もし大きいほうの音源の音量が0dbまでない場合は、それと同じくらい増幅する数値を削って適用してください。
また、位置がずれている場合はファイル名の帯をクリックしたまま動かして、大体で良いので合わせてください。
調整したほうの音源をソロにして「ファイル」→「エクスポート」→「WAVとしてエクスポート」→「保存」とクリックし、出力します。
ボーカル音源の抽出
歌声りっぷの画面より、フォルダアイコンをクリックし、歌入り音源とオフボーカル音源をそれぞれ選択します。
「設定」をクリックし、処理方法の抽出方法では「周波数合成」の「抽出優先」、抽出レベルを一番右の「強」に合わせます。
詳細設定タブでは画像のようになっていることを確認し、「OK」で閉じます。
これで「作成開始」をクリックするだけで、ボーカルだけ抜き取った音源ができました。
ボーカル音源を参考に補正する
抽出したボーカル音源をVocalShifterにドラッグ&ドロップで読み込みましょう。
参考にしたいボーカル音源と修正したい音源を、それぞれダブルクリックで表示します。
重なっているアイコン(他のアイテムのグラフをレイヤー表示)をクリックし、重ねて参考にしながらピッチを補正します。
参考音源とキーが違う場合、「Ctrl+Aキー」で参考音源のほうを全選択し、右クリックより「度数指定ピッチシフト」を選択します。
1オクターブ分なら±8度で合わせることができます。
位置ズレは読み込ませた元の画面のほうで、イベントをクリックしながら動かし、合わせてください。
抽出した音源は劣化しており、誤判定で1オクターブズレていることが多々ありますが、横の音階は一致するはずなので、参考にして合わせてください。
修正しているほうが自分の習得した音源であることは常に確認してください。
参考音源のほうを自分の音源に合わせて直してしまう事故は度々起こります。
タイミング補正(VocalShifter)
ピッチの補正が終わったら、「TIME」タブに切り替えてタイミングを補正します。
ピッチの線が見えなくなってしまった場合は、「PIT」の左の四角をクリックして、表示してください。
Ctrl+Aキーで全選択し、右クリック→「ノート位置に制御点追加」を実行します。
範囲全体が遅れている場合は、該当する制御点を囲むように選択してください。
選択範囲内の制御点をクリックしながら動かすと、まとめて移動させることができます。
制御点と制御点の間からボーカルがはみ出している場合、このままでははみ出した部分が伸び縮みし、不自然になります。
変えたくない範囲を選択して右クリック→「選択範囲に制御点追加」で保護してから調整しましょう。
移動させる前後に影響が出てしまうときも、せき止めて保護する目的で制御点を追加してください。
クリックして再生バーを移動させ、右クリック→「再生位置に制御点を追加」、とすることもできます。
タイミング補正では、「入り遅れたけど最後には合っている」「早く入りすぎてしまった」「伸ばしが足りなかった」という音源も修正できます。
修正したい場所と関係のないところを範囲選択しておけば、制御点を個別にクリックしながら修正することもできます。
タイミング補正はボーカルを伸縮させるため音質が劣化します。
大きく直しても不自然になる場合は、録り直すか個性として割り切ることも選択肢です。
音程を気にしすぎて感情が乗らない歌になるよりは、感情を込めて歌い切ってから補正するほうがよい場合もあると思います。
補正済み音源の出力ボーカル音源の抽出
ピッチとタイミングの補正が終わったら、音量を必ず±0に戻してから、アイテムを右クリック→「WAVEファイルに出力」→名前を付け、「保存」で書き出します。
これで、ピッチもタイミングも完璧に修正することができました。
USTの利用について
USTという、有志が配布してくれてるUTAUを歌わせるためのファイルがあります。
これがあれば、歌声りっぷを使わずともタイミングや音程が完璧でな参考音源を取得することができます。
歌声りっぷでは抜き出せないハモリ音源も、配布してくださっている場合があり、とても助けられます。
USTを使用する場合、配布いただいている方の想定した使用方法ではないため、迷惑をかけないように心掛けてください。
また、USTの作者さんが本家様のを耳コピしたものであるため、もしかしたら音程等が違うおそれがあることは、念頭に置いたうえで参考にしましょう。
UTAUの導入方法やUSTの使用方法については、こちらの記事をご覧ください。
ノイズ除去・ピッチ・タイミング補正は以上です。


