このページでは、無料で使用できるDAW「Cakewalk Sonar」の導入方法と、MIX講座の流れに合わせた基本操作を解説しています。
「Cakewalk by BandLab」は配布が終了しましたが、後継の「Cakewalk Sonar」の無料版が利用可能です。
機能制限版とされていますが制限はほとんどなく、「Cakewalk by BandLab」で使っていたファイルもそのまま開けます。
記事内の画像はCakewalk by BandLabのものですが、画面構成もほぼ変わっていません。
エクスポートボタンの位置が移動していることと、エクスポートの詳細画面内のボタン配置が入れ替わっている程度の違いですので、気にせず参考にしてください。
Cakewalk Sonarの導入方法
公式サイトにアクセスし、「Get Free Download for Windows」の「Windows」をクリックしてダウンロードします。
ダウンロードされた「Cakewalk_Product_Center_Setup」のexeファイルをダブルクリックして起動します。
画面に従ってインストールを進めてください。
起動した「Product Center」のウィンドウで、「Please sign in to BandLab」のボタンをクリックします。
ブラウザのログイン画面が開くので、ログインしてください。
「Product Center」のウィンドウに戻り、左に並んでいる「Cakewalk Sonar」を選択して、一番上の「Cakewalk Sonar」の右にある「Install」をクリックします。
画面に従ってインストールを進めてください。
設定画面を進めていくと、「Use Free Tier」の文字が表示されるのでクリックします。
しばらく待つと起動完了です。
プロジェクトの作成と初期設定
新規プロジェクトを作成します。
テンプレートはなんでもよいですが、とりあえず「Basic」を選択します。
「編集」→「環境設定」→「デバイスの選択」から、使用するマイクとスピーカーを選びます。
「デバイスの設定」がうまく反映されない場合は、一度「OK」で閉じてからもう一度開けば認識されることが多いです。
画面が小さいと隠れてしまうボタンなどがあるため、画面は大きくしておきましょう。
MIDIトラックは今回不要なため、トラックの左側を右クリックし、「トラックを削除」で消しておきます。
音源をドラッグ&ドロップで取り込みます。
トラックの▼▼をクリックすると、表示を伸縮できます。
録音の設定
トラックの作成
右クリック→「オーディオトラックの挿入」でレコーディング用のトラックを2つ作成します。
トラック上の録音待機ボタンをクリックして、光っているほうのトラックに録音できます。
録音ボタンを押して録音してみましょう。
録音ボタンの右の、ループバックのボタンを光らせると、自分の声をモニターできます。
Spaceキーで再生、Deleteキーで削除など、基本的な操作は「Studio One」と同様です。
テンポとメトロノーム
BPMを合わせてメトロノームを設定します。
「Cakewalk」にもテンポ検出機能はありますが、精度があまりよくありません。
テンポがわからない曲の場合は、BPMカウンターというサイトなどで調べるのがおすすめです。
テンポの入力欄に数値を入力してください。
メトロノームのボタンをクリックすると、設定画面が開きます。
メトロノームの設定では、一拍目とその他の拍の音量をそれぞれ決められます。
録音するときに鳴らしたいのか、聴いてチェックするときに鳴らしたいのか、チェックを入れて「OK」で閉じます。
鳴り始めがオケとずれている場合は、オケをクリックしたまま動かして合わせます。
もっと細かくずれている場合は、Snapの下のところを右クリックし、スナップの刻みを変えてください。
もしくは、マス目のボタンをクリックし、スナップ自体をオフにしてから調整してください。
音量の確認
インスペクタ(リアルタイム音量バー)は画面の左側に表示されています。
右下のボタンより表示できる、ミキサーで確認することもできます。
ミキサーは境目をクリックしながら動かすことで、表示領域を伸縮させることができます。
長く伸ばしておくと、後の作業で便利です。
Dキーでミキサーの表示/非表示を切り替えられます。
録音とテイク選び
大サビをループ再生して、歌いやすいようにオケの音量を調整します。
ループ範囲は、タイムラインのメモリ部分をクリックしたまま動かして選択します。
「背hん炊く範囲をループ区間に設定」ボタンをクリックし、上のループボタンが光ればループ再生されます。
ループボタンをクリックすることでループ再生のオンオフを切り替えられます。
ループ状態で録音すると、テイクごとに自動で保存されます。
「テイクレーン」をクリックでオンにすると、録りためたテイクが一覧で表示されます。
「S」のソロボタンを光らせると、個別に聴き比べることができます。
分割と編集
トラックの半分より下にカーソルを合わせてクリックすると、クリップを選択できます。
半分より下の表示のままドラッグすると、選択した範囲を分割できます。
Sキーでその場を分割することもできます。
分割するときに「オートクロスフェードを有効」を点灯させておくと、自動でフェード処理が入ります。
拡大したいときは、Altキーを押しながらマウスホイールを転がすか、縦横のズームフェーダーをクリックしながら動かします。
トラック左側の何もないところをダブルクリックすると、縦に大きく表示されて便利です。
高速コンピング
Cakewalkには、テイクレーンの聞き比べと採用を効率的に行える、高速コンピングという機能があります。
先にクリップを区間ごとに分割しておき、Shift+Spaceキーで高速コンピングを開始します。
区間ごとにループ再生が始まるので、上下の矢印キーでテイクを切り替えて聴き比べます。
採用するテイクをEnterキーで決定し、右矢印キーで次の区間に進みます。
全区間が終わったらSpaceキーで終了します。
これでテイクレーンを閉じれば、区間ごとに採用したテイクが反映されたトラックの完成です。
音源の出力
全部録音できましたら、音量フェーダーを全てダブルクリックで±0に戻し、ミュートを外します。
エクスポートボタン→詳細設定で、ファイル名と保存場所を設定します。
ソースの種類を「トラック」にして「エクスポート」をクリックすると、トラックごとに別々のファイルで出力されます。
ノイズ除去と下処理
全体のノイズ除去は「Audacity」で行いますが、iZotopeの「RX」シリーズなど、ノイズ除去ができるVSTプラグインを入手できれば「Cakewalk」上で直接かけることもできます。
ノイズ除去した音源は、ドラッグ&ドロップで読み込ませて元の音源と差し替えます。
個別のノイズ除去で特筆するような操作はありません。
分割はSキー、削除は選択した状態でCtrl+Xキー(覚えづらければDeleteキーでも)で行えます。
処理が終わったら、また音量フェーダーを0に戻して、エクスポートボタン→詳細設定→ソースの種類を「トラック」でエクスポートします。
ピッチ補正やタイミング補正は「VocalShifter」で行います。
録音データを残しておきたい場合は「ファイル」→「名前を付けて保存」で別ファイルにしておいてください。
MIX:音量調整とコンプレッサー
下処理が終わった音源を読み込ませて差し替え、音量フェーダーで下げておきます。
パートごとの音量調整
全体的に上げたい部分がある場合、「Studio One」のようにイベント上の白い四角で持ち上げる操作はありません。
代わりに「クリップ」→「クリップのオートメーション」→「ゲイン」を選択します。
クリックで点を打って変更したい区間を隔離し、Ctrlキーを押しながら線をクリックし、上下させることで音量を調整します。
調整が終わったら「クリップ」に表示を戻しておきます。
なお、分割で切り出したクリップごとに個別のエフェクトを適用することもできます。
ブラウザから「Sonitus Compressor」をドラッグ&ドロップすると、クリップに「FX」の表示がつき、ゲインの上下などが行えます。
StudioOneのChannel Stripと比べ、エフェクトの画面の構成はだいぶ変わってしまいますが、書いてあることは一緒です。
音量バランスの初期設定
大サビをループ再生して、オフボーカルを-10~-12dB程度に、ボーカルは-6dBくらいまで音量フェーダーで調整します。
トラック全体の音量を上げる場合は「ProChannel」が便利です。
「ProChannel」は、左上に表示/非表示のボタンがあります。
もしくはミキサー画面から、クリックで表示できます。
ProChannelでの音量上げ
プラスマークから「PC2A LEVELER」を選択し、追加します。
右のつまみで「頂点をどれだけ削るか」の値を0にすることで、単純なゲイン上げとして使えます。
左のつまみでゲイン、音量を上げることができます。
他のモジュールがONになっていると、意図しないエフェクトがかかってしまうため、光っていないことを確認してください。
コンプレッサー
コンプレッサーも「ProChannel」の「PC2A LEVELER」の右のつまみを調整することでかけられます。
ただし「PC2A LEVELER」はあまり細かく調整して潰せる感じではないため、足りないと感じたら「Sonitus Compressor」を追加で挿して重ねがけします。
先ほど同様にドラッグ&ドロップでかけることもできますし、ミキサーのFXのプラスマークから「オーディオFXの挿入」を選択し、追加することもできます。
「Sonitus Compressor」では、「Studio One」の「Channel Strip」のように「Compress」のつまみ1つではなく、閾値(Threshold)とレシオ(Ratio)を明確に設定できます。
アタック(Attack)とリリース(Release)で、すぐにかけてすぐに開放するか、ゆっくりかけるかを調整します。
設定に迷った場合は「Presets」→「Music」→「Vocals soft」の値にすると良いと思います。
余裕が出てきたら数値をいじって聴き比べてみてください。
MIX:イコライザー
イコライザーも「ProChannel」に最初から入っている「QUADCURVE EQUALIZER」を使用します。
「ProChannel」に他のモジュールが表示されてわかりづらい場合は、名前のあたりを右クリック→「モジュールを削除」で消せます。
名前のところをクリックしながらドラッグすると、エフェクトの適用順を入れ替えることができます。
「EQ」と書かれたところをダブルクリックするか、横の▼▼をクリックすると、大きく表示されます。
操作は「Studio One」の「Channel Strip」とほぼ同じですが、端の帯域については「つまんで動かす」か「ばっさりカットする」かを選択できます。
各ポイントのつまみは縦軸と横軸で操作し、「Q」のつまみで影響範囲の広さ(つられ方)を変えられます。
再生しながらポイントを動かすと、どのあたりの帯域が強いかを視覚的に確認できます。
複数のボーカルやハモリを混ぜるようになると、この視覚的な確認がありがたくなると思います。
設定の複製
「ProChannel」の設定を他のトラックにコピーする場合は、モジュールの左上をクリックし、設定をコピーを選択します。
移植先のトラックに同じモジュールを出し、同じくモジュールの左上から設定を貼り付けます。
挿したエフェクトはCtrlキーを押しながらドラッグ&ドロップで複製できます。
MIX:パン振り
ハモリをパン振りする場合は、ミックスコンソールのパンつまみで左右に振ります。
ハモリを両側に置くために複製する場合は、トラックを右クリック→「トラックの複製」を選択し、「イベント」にもチェックを入れて「OK」をクリックします。
それぞれをLとRにパン振りしましょう。
片方を10ms遅らせるには、クリップをダブルクリックして開く「クリップのプロパティ」で、開始時間の一番下の値を+10します。
遅らせたほうが少し小さく聞こえるため、「Sonitus Compressor」を挿してゲインを+1~2dBにしてバランスを取ります。
全トラックを鳴らした状態で、音量のバランスを調整しましょう。
トラックの「オートメーションレーン」をクリックして、サビ前を上げるなどのボリューム調整も行えます。
リバーブとディレイ
リバーブ用のFXチャンネルは、「Cakewalk」では「バス」として作成します。
右クリック→「ステレオバスの挿入」で作成してください。
ハモリがあるならメイン用とハモリ用の2つを作り、わかりやすい名前に変更しておきます。
センドの設定
送り込むのはSendsのプラスマークから行います。
マスターとリバーブ用の、両方のバスに送ってください。
同じバスに送り込むけれど、メインはあまり送り込まない、といった個別の調整もできます。
リバーブの設定
リバーブ用のプラグインには「BREVERB2 Cakewalk」が使用できます。
「Size」「Pre-Delay」、Dampingの代わりに「Diffusion」の、3つで響きを調整します。
わざとらしくならないように、ステレオバスのボリュームフェーダーを下げてほんのり聞こえる程度にしましょう。
プリセットがたくさん用意されているため、ダブルクリックでかけ比べてみるのもおすすめです。
よく「短いリバーブと長いリバーブを2つかける」なんて言いますので、慣れてきたら組み合わせてかけてみるのも良いと思います。
リバーブ側の低音や、必要に応じて高音も、「Sonitus Equalizer」を追加してカットします。
「Sonitus Equalizer」は視覚的にわかりやすく使用できると思います。
リバーブで音量が上がった分、メインのフェーダーも少し下げて-6dB前後に戻しておきましょう。
Sendsのつまみで送り具合を調整することで、簡単に音量を調整できます。
ディレイの設定
ディレイが必要であれば、同様にステレオバスを追加して「Sonitus Delay」を挿入します。
左右それぞれ別々に間隔を設定できますが、基本的には同じ設定で問題ありません。
フィードバックは大きめに設定しておき、ステレオバスのボリュームフェーダーで全体の音量を調整します。
Sonitus Equalizerでのローカットもかけておいてください。
エフェクトの応用とオートメーション
一部分だけラジオボイスにしたいといった場合、「Cakewalk」ではトラックを分ける必要はありません。
分割で切り出したクリップに、直接イコライザーなどのエフェクトをドラッグ&ドロップで挿すことができます。
オートメーション
エフェクトをオートメーションで操作する場合は、「クリップ」→「オートメーション」から動かしたいエフェクトより、「パラメータを選択」をクリックします。
「MIX」や「WETレベル」のように一括で動かせるパラメータが載っていれば、それを選択して動かせます。
パラメータがかなり細かく分かれている場合は、ひとつひとつオートメーションを設定するのは大変です。
その場合はStudioOne同様に、トラックを複製してエフェクトありのトラックとなしのトラックを作り、ボリュームのオートメーションで入れ替えるほうが楽です。
馴染ませる・前に出す
細かな音量調整はオートメーションで行います。
馴染ませたい場合
音量を下げるか、「Sonitus Delay」を直接トラックにうっすらかけます。
ハモリであれば「Multivoice Chorus/Flanger」を挿すのも有効です。
「プリセットなし」の▼から適当なプリセットを選んでみて、MIXの数値を抑えるだけで調整できます。
プリセットによってはロボットのような謎の音が含まれているものもあるため、聴いて確認してください。
前に出したい場合
「ProChannel」のイコライザーで思い切った帯域処理をしてみるか、歪みエフェクトを試します。
歪みエフェクトには、「Cakewalk」に付属しているギターアンプシミュレーター「TH3」が使えます。
All categoryから「Overdrive」を選び、出てきた「TUBE NINE」を木の板の背景にドラッグ&ドロップで配置します。
ドライブのノブをひねって味付けしてください。
「TH3」にはMIXレベルのつまみがないため、ステレオバスを作って「TH3」をそちらに挿し、フェーダーで音量を調整するのがおすすめです。
書き出しとマスタリング
曲全体のバランスに満足したら、一度全体を再生してクリッピングが発生していないか目視で確認します。
エクスポートボタン→詳細設定で、ソースの種類を「すべてミックス」に設定し、「エクスポート」で保存します。
あとは「音圧爆上げくん」でマスタリングし、バランスが崩れた箇所があれば調整して再度書き出す、という繰り返しで完成です。
「Cakewalk Sonar」の導入と基本操作は以上です。

